そんなある日、今度は真っ黒なカラスが一羽やって来ました。「おまえはいいな。こんなところで気ままに暮らせるなんて。オレなんて体が黒いっていうだけで人間に嫌われて、すぐに追い払われてしまうんだ」
この日、ニノはちょっぴり悲しい気分だったので、初めてカラスに打ちあけました。「でも、キミには友達がいるんだろ。たくさん群れになって飛んでいるのを見たよ」
カラスは首を横に振って、「いやいや、あれは違うグループのカラスたちさ。オレはいつだってひとりで行動するのが好きなんだ」
「ひとりは寂しくない?」とニノが聞くと、カラスは「オレはひとりの方がいいね。一緒にいると、エサを横取りされたり、自分が行きたくない場所に行かなければいけなかったりするだろ」とカラスは言いました。
「でもボクは仔猫のときからずっとひとりぼっちなので、友達が欲しいんだ」
するとカラスは言いました。「それならオレと友達になろうよ」
ニノはビックリして「ホントに!?」と聞き返しました。
「オレは何だかおまえが気に入ったんだ」
「ありがとう!ボクはときどきキミがここに来てくれて、こうやって話をするだけで楽しいんだ。友達になってくれるかい?」
「とりあえずこれは友達になった印だよ」そう言ってカラスは、口にくわえていたドングリをニノに渡して、夕焼けの空を飛んで帰ってゆきました。 |