ある日仕事から帰ってくると、パッチは自分のトイレの中にうずくまっていました。きれい好きな猫にとって、トイレの中にうずくまったり、トイレ以外の場所でおしっこを漏らしたりするのは、あまり良い兆しではありません。そして、パッチの筋肉はまるでつきたてのお餅のように張りがなくなり、もはや自分の体型を維持するための力すら残っていない様子でした。まぶたや歯茎も血の気を失って白く変色しはじめ、パッチが貧血状態の中で苦しんでいるのがわかりました。私たちは、ついに安楽死の決断をするときが来た事を知りました。肉体的、精神的苦痛しか残されていないパッチに、これ以上延命治療を行うのはあまりにも残酷な事です。獣医の先生も、それがパッチにしてあげられる最良の判断だと、私たちの決断に同意してくれました。血管が細くなり注射器の針を刺す事すら困難な状態でしたが、注射と共にパッチは眠るように息を引き取りました。
2ヶ月の間、パッチは決して多くを求める事なく、自分に残された命を私たちと共に生きました。「安楽死」という選択は正しかったのだろうか…と今でも思います。しかし、人間と同じように、残された命を如何に生き、その命を終えるかという事は、どうぶつたちにとっても大切な事なのです。寿命であろうと病死であろうと、彼らの最期を見送った時にはいつも思います。彼らが、私たちと共に暮らした時間は幸せだったのだろうかと…。 |