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動物たちのトラウマ

私の実家に、6才になるネネというメス犬がいます(2005年現在)。ネネは大阪城公園の野良犬から生まれた子で、公園内で生活していたホームレスに飼われていました。しかし、その飼い主が傷害事件を起こし、警察に拘留される事となったため、彼が飼っていた犬十数頭を、公園の管理事務所が一時預かりという形で世話をする事になりました。当然、公園の管理事務所には、犬を世話するための設備や知識もなかったので、簡易的に工事用のパネルを組み合わせて、その犬たちを収容しました。


ところが、その場所は雨が降ると地面がドロドロになり、しかもパネルで囲われたスペースの中で喧嘩をしないように1頭ずつ短い鎖で繋がれていたため、自分の排泄物や食べ残したドッグフードの上で寝る事を余儀なくされていました。体中の泥が固まって、ほとんどの犬が皮膚病にかかっていました。中には、耳が腐って穴が空いている犬もいたほどです。

ネネはそんな状況の中から助け出されました。ネネが我が家に来たのは、6ヶ月のまだ仔犬のときでしたが、当初は知らない人、特に男の人を怖がりました。散歩のときでも、何故か工事現場やトラック、段ボール箱などを見ると異常に怖がります。現在では少しずつそういった症状も無くなってきましたが、もしかするとそういった物に嫌な思い出があるのかもしれません。人間の子供でも同じように、幼少期の強烈な体験はトラウマとなり、その後の人格形成に大きな影響を与えます。そしてそれは、時にその人やどうぶつの一生を左右するものともなりかねないのです。

幸いネネは、性格上に問題が無く攻撃的ではなかったので里親にもらわれ、一つの家庭の中で安住の居場所を見つける事ができました。しかし仔犬の頃の体験が原因で、恐さのあまりに吠えたり咬んだりするようになってしまったどうぶつは、なかなか里親にもらわれるチャンスがありません。またもらわれた先でも、凶暴などうぶつとして捨てられたり、行政の施設に持ち込まれて殺処分されてしまう場合もあるのです。

このように、幼少期の体験が元で恐がりになってしまったり、一つの家庭で飼われていたにも関わらず、繋がれっぱなしで人間の愛情を受ける事なく育ったどうぶつたちは、現代の社会の中で生きていくのは困難です。どうぶつたちも人間と同じように、愛情という糧があってこそ、はじめて心身共に健全な成長ができるのです。


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