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ウォーリー

犬のハロルドとシェリー、そして猫のウォーリーとコージー。この4頭が、私たち夫婦と共に暮らしている家族の一員です(2000年現在)。4頭とも動物保護施設から里親として引き取って来た動物たちです。

ハロルドは、甲状腺ホルモンのバランスに問題があり、一生治ることのないアレルギーを持っています。もうすでに15歳になりますが、梅雨の時期など湿気が多い季節には注意をしていないと、自分のシッポや背中を血が出るまで噛んでしまいます。
シェリーは6歳の女の子です。捨てられたシェリーは、子供が大好きだったので最初は子供たちに人気があり、かわいがられていました。しかし次第に遊びの度合いがエスカレートし、虐められるようになってしまいました。見かねたご近所の方が通報し、保護されることなったそうです。
コージーは仔猫のときに片目がつぶれた状態で、段ボール箱に入れて捨てられていました。健康状態には全く問題はありませんが、結局片目を摘出する手術をしました。

さて、この物語の主人公の猫のウォーリーですが、彼は仔猫のときにあの阪神淡路大震災で被災しました。その後保護施設に収容されましたが、先天的に膀胱を収縮させるための神経に問題があるという障害を持って生まれたウォーリーは、仔猫のときからずっと病院通いをくり返していました。今でも膀胱収縮剤という薬を飲んでいますが、膀胱の大きさが普通の猫の2倍以上もあります。

私たちは、以前にも障害を持った動物の世話をしたことがありますが、そういった動物は自分が背負った障害をものともせず、なぜかどの子も天真爛漫に生きています。ウォーリーもそうです。私たちが動物保護活動をするようになり、次々と新しい動物が自宅に保護されてきましたが、ウォーリーはそうした動物たち(特に仔犬や仔猫)の心の痛みがわかるかのように、献身的に彼らの世話をします。寝ているときに飛びつかれても、食べているものを取られても、決して怒ることなくじっと彼らのさせるままにしているのです。ウォーリーのおかげで、私たちのところで育つ動物は他の動物に対しての社会化ができています。社会化ができている動物は、里親に出すときにも新しい家庭に受け入れられやすいのです。

私たちは、障害を持った動物たちから多くのことを学びます。与えられた自分の運命を受け入れ、悲観することなく懸命に生きようとしているのです。

動物が好きな子供も、そうでない子供も、そういった彼らの姿から生きることの喜びと勇気を感じてもらいたいと思います。子供たちのみならず、私たちにも大きな贈り物をくれた猫のウォーリーの物語です。

*2001年6月30日、尿毒症のため亡くなりました。

wally

 ボクの名前はウォーリー。
 年は5歳。仔猫のときにとっても大きな地震があって、ボクは大切な家族と家を同時になくしたんだ。なんだかわけがわからないうちにひとりぼっちになってしまい、すごく寒くてお腹がすいていたことだけは覚えてるよ。

 気がつくとボクは、動物保護施設というところにいたんだよ。幸運なことに、ボクはやさしい人に助けられてその施設に引き取られたんだ。その施設では、いつもお腹一杯ご飯が食べれて、夜も寒くなかったよ。

 ボクには生まれつきおしっこが出にくいっていう病気があるらしい。そんなわけでボクはいつもケージの中にいた。ケージって冷たい雰囲気で、好きじゃないんだ。保護施設って安全で快適だけど、いつも心のどこかにポッカリ穴が空いていたよ。

 保護施設に来て4年目の冬、ようやくボクにもチャンスがやってきた!病気のボクを家族に迎え入れてくれる人があらわれたんだ。家族と暮らすってなんて幸せなんだろう!ボクが本当に欲しかったのはこれなんだ!家族の暖かさだよ!

 相変わらずおしっこの問題があったけど、ボクは毎日昼間はひなたぼっこをして、夜はご主人と一緒にベッドで寝てるんだ。もちろんお腹一杯ゴハンも食べれるし、最高に幸せさ!

 新しい家には、すでに仲間が2匹もいた。1匹はおじさん犬の「ハロルド」。ハロルドは全身がアレルギーでいつもどこかがかゆいんだって。ハロルドも捨てられていて、スーパーのゴミ袋をあさっているところを保護されたそうだよ。

 もうひとりのボクの仲間は「シェリー」。シェリーも捨てられていて、ずっと子供たちにいじめられていたみたいなんだけど、今でも子供が大好きみたい。

 しばらくすると、ボクのご主人は捨てられた動物たちを助ける活動をはじめた。どうやら捨てられている動物はボクたちだけではないらしいんだ。ボクたちみたいな動物を助けるために、みんなで立ち上がったんだ!

 はじめにまだ生まれたばかりの仔猫が3匹やってきた。まだへその緒がついているし、目もあいていない。「だれかもらってください」って書いた段ボール箱に入れて捨てられていたんだって。ボクのご主人のグループは、みんなで協力して3時間ごとにミルクをあげて育てていたよ。仔猫を育てるって大変なんだ!
 最近仲間入りした仔猫の名前はアカシ。保護された場所からこの名前がついたらしいけど、はっきりいって猫としてはあんまりいい名前だとは思わないな。まぁ、とにかくいつもボクのそばによってくるから一緒に寝てるんだ。最初はボクの毛布を勝手に使うのが気に入らなかったけど、まあいいよ。捨てられて、毎日寂しくてお腹がすいてしかたがなかったアカシの気持ちがボクにはよくわかるもの。アカシの寝顔を見ていると、ひとりぼっちでとても寒かった夜を思い出すよ。

 また今日も捨てられていた動物が保護されたみたい。今度はハスキー犬。ちょっと大きな犬で、少し前にブームになったあの犬だよ。そのときはみんなハスキー犬を飼ってたのに今ではあんまり見ない。あんなにたくさんいたのにどこに行ったんだろう?犬って一度飼うと10年以上は生きるのに・・・。

 今日はいいニュースがあるんだ。3匹の仔猫たちに、新しい家族が決まったんだ!「もういらない」っていって段ボール箱に入れて捨てられていた子たちが、家族の一員として生きるチャンスを見つけたんだよ!サイコーの気分だよ。

 残ったアカシと一緒にお昼寝をしていると、今度は左目がグチャグチャにつぶれたコージーという仔猫がやってきた。何度もたいへんな手術をしたけど、結局左目はよくならずコージは片目を失ったんだ。手術が終わったあと、コージーはまたボクらの家にやってきた。最初は片目が見えないからちょっと落ち込んで機嫌が悪かったけど、根はいいやつなんだ。今ではすっかり仲良しさ。

 やがて、ボクの大の仲良しのアカシも新しい飼い主さんにもらわれて行った。正直言ってすごくショックだった。アカシがまだ仔猫だったときから、ずっとボクがお兄ちゃんの代わりだったんだもの。でも、アカシは新しい家庭でもっと幸せになるんだ。悲しんでちゃダメだよね、ということはわかっているんだけど、やっぱりちょっとさみしいな。

 昨日、夢を見たんだ。今までにボクが出会った仲間たちの夢さ。もちろんクレオたちやハスキー、アカシも出てきたよ。みんなが捨てられて行き場をなくした悲しい場面が、夢の中で映画のように流れていったよ。ボクだけじゃなく、みんなそれぞれに悲しい過去があったんだ。

 それから夢の中でボクは初めてお母さんに会った。とってもきれいで、ボクと同じ毛の色をしていたよ。夢の中のお母さんはとっても優しくて、まだ赤ちゃんのボクを一生懸命育ててくれたんだ。お母さんの腕の中は、暖かくていいにおいがして、世界で一番安心できる場所。
 そこで目が覚めた。寂しくてちょっと泣いちゃった。
 でもそんなことは言ってられない。今日もウッディという仔犬が保護されてきたんだもの。ウッディのやつ、ボクが昼寝をしているといっつも背中に飛びついてくるし、ボクのしっぽや耳をおもちゃにして遊ぶんだ。それにとんでもないことにボクの毛布の上でおしっこをしたんだ!でもいいさ…ボクには新しい家族がいるけど、ウッディにはお母さんも兄弟もいないんだもの。だから今はボクがその代わりさ。やさしくしてあげなきゃ。

 ボクにできることはこんなことくらい。でも何もしないよりはいいよね。
 こんなにたくさんの仲間たちが悲しい目にあってるんだ。少しでも多くの仲間たちが家族の温もりってやつを手に入れられるために、これからも頑張るよ!

おわり


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